子育て支援課では、相談対応・申請処理・情報発信など日々多くの業務を抱えています。近年は、AIを活用した業務効率化が全国の自治体で進みつつありますが、「本格導入の前に、まずは小さく試したい」という声も多く聞かれます。本記事では、子育て支援課がAIを試験導入する際に役立つポイントと、自治体向けAIお試しシステムを活用した検証方法をご紹介します。
- シナリオ4:AIチャット × ローカルLLM(gemma)── 家庭児童相談の聞き取りメモを、要対協ケース記録へ構造化する
- 手順 48:新しい会話を開始
- 手順 49:ローカルLLM(gemma)を選択
- 手順 50:相談メモからケース記録を作る型を選択
- 手順 51:参照する知識ファイルの欄を開く
- 手順 52:キーワードで資料を検索
- 手順 53:参照する資料を選択
- 手順 54:型に相談メモを貼り付けて入力
- 手順 55:送信ボタンをクリック
- 手順 56:AIが回答を作成中(ローカルLLM)
- 手順 57:ローカルLLMの回答(主訴と事実経過の時系列表)
- 手順 58:ローカルLLMの回答(客観的所見と、評価・見立ての分離)
- 手順 59:ローカルLLMの回答(リスクアセスメントと緊急度の判定)
- 手順 60:ローカルLLMの回答(次に行うことと、要対協への情報共有案)
- 手順 61:回答をコピー・WordExcelで書き出す
- このシナリオの操作記録
- 入力したプロンプト全文(コピーしてお使いいただけます)
シナリオ4:AIチャット × ローカルLLM(gemma)── 家庭児童相談の聞き取りメモを、要対協ケース記録へ構造化する
同じ課の中で、まったく性質の違う仕事が並行して進んでいます。児童虐待の通告を受け、学校と保育所へ照会し、家庭訪問をして、保護者と話し、そのうえで机に戻って記録を書く。この記録は、一言一句が法的・行政的な記録になります。「事実」と「見立て」を分けて、伝聞には出典を付し、身体的所見は部位と大きさで書く――分かっていても、精神的に消耗した状態でこれを書き切るのは容易ではありません。このシナリオでは、走り書きのメモを要領どおりの記録へ構造化させます。扱うのは要配慮個人情報そのものです。ローカルLLM以外の選択肢はありません。逆に言えば、ローカルLLMを庁内に用意しておかない限り、この業務でAIを使うという選択肢は最初から存在しません。
手順 48:新しい会話を開始
シナリオ3とは別の案件を扱うため、新しい会話として始めます(左サイドバーの「+ 新しい会話」からいつでも切り替えられます)。会話ごとに参照する資料とモデルを変えられるので、案件が混ざる心配がありません。要保護児童のケースは、他の案件と記録が混ざること自体が事故になり得ます。会話を分ける運用を課内のルールにしてください。

手順 49:ローカルLLM(gemma)を選択
「ローカル (Ollama): gemma3:4b」(赤枠)を選びます。ここで扱うのは、児童虐待の通告内容、児童の身体的所見、保護者の生活状況といった要配慮個人情報そのものです。学校・保育所・近隣住民から提供された情報も含まれます。外部送信のないローカルLLM以外の選択肢はありません。この一点だけでも、ローカルLLMを庁内に用意しておく意味があります。クラウドAIしか使えない環境では、この業務でAIを使うという選択肢そのものが最初から消えてしまいます。

手順 50:相談メモからケース記録を作る型を選択
「定型プロンプト」から『【子育て支援課】相談メモからケース記録を作る(要対協様式・ローカルLLM専用)』(赤枠)を選びます。記録の様式は課によって決まっているため、型を配ってしまえば、誰が書いても同じ様式に揃います。経験の浅い職員が「どう書けばよいか分からず、手が止まる」時間をなくせます。

手順 51:参照する知識ファイルの欄を開く
「📎 この会話で参照する知識ファイルを追加」(赤枠)をクリックして開きます。指定するのは、シナリオ1で登録した内部基準のうち第8「家庭児童相談・要保護児童に関する記録の作成要領」です。リスクアセスメントの12項目と緊急度A/B/Cの判定基準が書かれており、AIはこの基準に沿って判定します。

手順 52:キーワードで資料を検索
検索欄(赤枠)に「利用調整」と入力して絞り込みます。この資料は「所属(指定部署のみ)」で登録しているため、福祉部の職員以外の検索結果には表示されません。

手順 53:参照する資料を選択
『保育所等利用調整基準・選考事務要領 兼 家庭児童相談記録作成要領』(赤枠)を選びます。ベテラン職員の頭の中にあった「この状況は危ない」という感覚を、文書化してAIに持たせておくことで、担当が代わっても同じ観点で危険信号を拾えるようになります。

手順 54:型に相談メモを貼り付けて入力
入力欄(赤枠)に、型と、相談員が書いた走り書きのメモを貼り付けます。ここで用意したメモは、実際の現場の記録に近い状態にしてあります。日付が飛び、近隣住民からの伝聞と学校からの報告と本人の発言が混ざり、「たぶん」「気がする」「らしい」といった曖昧な語が残り、「お母さんは決して悪い人ではない印象」という主観的な評価も書き込まれています。これを要領どおりの記録に整えるのが、最も時間と精神力を使う工程です。通告を受け、学校と保育所に照会し、家庭訪問をして、そのうえで机に戻って一言一句を選びながら記録を書く――この最後の工程をAIが下書きします。※ 氏名・住所・施設名・事案はすべて架空のダミーデータです。

手順 55:送信ボタンをクリック
送信ボタン(赤枠)をクリックします。

手順 56:AIが回答を作成中(ローカルLLM)
AIが記録作成要領を読み込みながら、ケース記録の下書きを作成します。入力した内容は職員のPCの中だけで処理され、庁外へ送信されません。

手順 57:ローカルLLMの回答(主訴と事実経過の時系列表)
ローカルLLM(Ollama / gemma3:4b)が、走り書きのメモを主訴と事実経過に整理しました。日時/情報源/確認された事実の3列に分解され、近隣住民の申出、学校教頭の報告、保育所担任の報告、母の電話での発言がそれぞれ出典つきで並びます。後日この記録を読む別の職員が、「誰が言ったことなのか」を取り違えずに判断できる形になります。
.png)
手順 58:ローカルLLMの回答(客観的所見と、評価・見立ての分離)
続く部分では、事実と評価が明確に分けられています。メモにあった「お母さんは決して悪い人ではない印象」といった主観的な記述は、事実の欄から評価の欄へ移され、「〜と考えられる」の形に書き換えられます。身体的所見も、部位・大きさ・色・形状で記載する形に整えられます。この分離こそ、記録作成要領が最も重視している点であり、同時に経験の浅い職員が最もつまずく点でもあります。
.png)
手順 59:ローカルLLMの回答(リスクアセスメントと緊急度の判定)
リスクアセスメント12項目について、該当/非該当/情報不足が判定されます。8歳の児童が3歳の弟を夜間に世話している(ヤングケアラー)、家庭訪問の拒否、過去の外傷と受傷理由の説明、登園・登校の不規則化といった項目が拾い上げられます。そのうえで緊急度がA・B・Cで判定され、要領が定める対応期限が併記されます。情報が足りない項目は空欄にせず「情報不足」と明示され、確認すべき事項として次の行動に繰り上がります。

手順 60:ローカルLLMの回答(次に行うことと、要対協への情報共有案)
最後に、担当者と期限つきの「次に行うこと」と、要保護児童対策地域協議会への情報共有案が示されます。共有先(児童相談所・学校・保育所)ごとに提供する情報の範囲を分けて記載される点が実務的です。1つの家庭を多機関で支えるために何度も作り直していた共有文書を、1回の操作でまとめて用意できます。AIの判定は下書きです。緊急度の最終判断は必ず受理会議で行ってください。
.png)
手順 61:回答をコピー・WordExcelで書き出す
回答の下の「📋 コピー」「Word」「Excel」(赤枠)から書き出せます。ケース記録はWordで書き出して所定の様式へ、リスクアセスメントの判定はExcelで書き出して進行管理台帳へ、というように使い分けられます。書き出したファイルの保管は、貴庁の情報セキュリティポリシーに従ってください。

このシナリオの操作記録
• 🎬 操作動画(MP4):04_AIチャット_家庭児童相談_ローカルLLM_20260811_125707.mp4
• 🎬 操作動画(WebM/元データ):04_AIチャット_家庭児童相談_ローカルLLM_20260811_125707.webm
• 🖼 操作GIF:04_AIチャット_家庭児童相談_ローカルLLM.gif

入力したプロンプト全文(コピーしてお使いいただけます)
あなたは架空市こども家庭センターの家庭児童相談員です。
添付の「架空市 保育所等利用調整基準・選考事務要領 兼 家庭児童相談記録作成要領(令和8年度版)」
の第8を唯一の基準として、下記の相談メモをケース記録の形に整えてください。
【出力してほしい内容】
1. 主訴(誰が、何を心配して、どこへ相談・通告したのか。3行以内)
2. 事実経過(時系列の表:日時/情報源/確認された事実。伝聞は出典を明示すること)
3. 客観的所見(身体的所見は部位・大きさ・色・形状・数で記載すること)
4. 評価・見立て(事実と明確に区別し、「〜と考えられる」の形で記載すること)
5. リスクアセスメント(要領第8(4)の12項目について、該当/非該当/情報不足で判定)
6. 緊急度の判定(A・B・Cのいずれか。判定の理由と、要領が定める対応期限を併記)
7. 次に行うこと(担当者・期限つきの箇条書き)
8. 要保護児童対策地域協議会への情報共有案(共有先ごとに、提供する情報の範囲を分けて記載)
【厳守事項】
・「事実」と「評価」を必ず分けてください。メモの中の主観的な表現は、
そのまま事実として書き写さず、評価の欄へ移してください。
・要領第8(3)が禁じている表現(母親失格、だらしない、愛情がない 等)を用いないでください。
・日時が特定できない記述は「日時不明(要確認)」と明示してください。
・情報が不足していて判定できない項目は、空欄にせず「情報不足」と記載し、
確認すべき事項を8に挙げてください。
・この記録は職員が確認・修正することを前提とした下書きです。
【相談メモ】
【相談・通告の聞き取りメモ(架空市こども家庭センター 架空 ダミー 走り書き)】
11/6 夕方 電話 近隣の架空 四郎さんという方から
「隣の家で子どもの泣き声が続いている、夜中もある、前から気になってた」
どこの家か聞いたら架空市架空町4丁目のアパート、たぶん2階の角部屋
子どもは小学校低学年くらいの女の子と、下に小さい子がいるみたい
「叩く音みたいなのも聞こえる気がする」とのこと ※あくまで「気がする」レベル
住基で確認 → 該当は架空 ひなた(小2・8歳)と弟(3歳)
母子世帯、母は架空 三郎さん、去年離婚してる
弟は架空中央こども園に在籍
11/7 朝 架空市立架空第一小学校に連絡(教頭先生)
・架空 ひなたさんは9月以降、遅刻が増えている、月に7〜8回
・先週は3日続けて欠席、連絡帳に記載なし、電話も出なかった
・給食のおかわりを何度もするようになった、前はそうでもなかった
・9月に体育の着替えのとき、腕にあざがあるのを担任が見た
本人は「転んだ」と言っていた、それ以上は聞いていない
・持ち物が揃わないことが増えた、宿題も出てこない
・「お母さんは夜いない日がある」と本人が話したことがあるらしい ※担任の記憶
同日 架空中央こども園にも確認
・弟は10月から登園が不規則、週2〜3日しか来ない日もある
・お迎えが20時を過ぎることがある、連絡なしのことも
・服が2日同じことがある、においが気になると担任が言っている
・母は明るく対応してくれる、会話は普通にできる
11/8 家庭訪問 15時ごろ 不在 ポストに連絡票入れた
※ カーテン閉まっていた、中に人の気配があったような気もするが確認できず
11/10 母から折り返し電話 昼過ぎ
・「仕事が変わって夜勤が入るようになった、上の子に下の子を見てもらっている」
・「あざは本人が階段から落ちたもの、病院には行っていない」
・「学校のことは知っている、ちゃんとやらせます」
・訪問については「今は家が散らかっているので来られても困る」
・声は落ち着いていた、が、途中で「私だって頑張ってるんですけど」と強い口調になった
・生活は「ぎりぎり」、児童扶養手当は受けている、養育費はもらっていない
11/11 課内で共有
・母は去年の離婚のとき、生活相談で来ていた記録あり(福祉課)
・8歳の子が3歳の弟の面倒を夜間に見ているらしい → これはかなり気になる
・お母さんは決して悪い人ではない印象、むしろ限界まで頑張っている感じ
・前の担当者からは「明るくて協力的な方」と聞いている
・どうするか、児相にあげるかどうか判断つかない
・とりあえず来週もう一度訪問してみるか?
※ まだ本人(架空 ひなたさん)には直接会えていない
※ 弟のほうは保育園で会えているはず、けが等の報告は今のところなし
【地方自治体向け】一緒にAI導入支援に挑戦しませんか?



コメント