市民課では、住民票・戸籍・証明書発行など、日々多くの問い合わせや事務処理が発生します。近年はAIを活用した業務効率化が注目されていますが、「いきなり本格導入は不安」「まずは小さく試したい」という自治体も多いはず。本記事では、市民課がAIを試験導入する際に役立つポイントと、自治体向けAIお試しシステムの活用方法をご紹介します。
- シナリオ4:AIチャット × ローカルLLM(gemma)── 手書き住民異動届の点検と、システム入力用データの整形
- 手順 47:新しい会話を開始
- 手順 48:ローカルLLM(gemma)を選択
- 手順 49:手書き申請書の点検・整形の型を選択
- 手順 50:参照する知識ファイルの欄を開く
- 手順 51:キーワードで資料を検索
- 手順 52:参照する資料を選択
- 手順 53:型に手書き届書の読み取り結果を貼り付けて入力
- 手順 54:送信ボタンをクリック
- 手順 55:AIが回答を作成中(ローカルLLM)
- 手順 56:ローカルLLMの回答(不備一覧と要領の該当事例)
- 手順 57:ローカルLLMの回答(判読が困難な文字の確認事項)
- 手順 58:ローカルLLMの回答(システム入力用に整形したデータ)
- 手順 59:ローカルLLMの回答(本人への電話確認の読み上げ文と、他課への引き継ぎ)
- 手順 60:回答をコピー・WordExcelで書き出す
- このシナリオの操作記録
- 入力したプロンプト全文(コピーしてお使いいただけます)
シナリオ4:AIチャット × ローカルLLM(gemma)── 手書き住民異動届の点検と、システム入力用データの整形
市民課の業務の多くは、市民が紙の申請書に手書きで記入した内容を、職員が確認して基幹系システムに入力する作業です。氏名の旧字体、住所のマンション名、生年月日の記載漏れや書き間違いが多く、その場で確認・修正してもらう手間が常に発生します。そのうえで、紙を見ながら画面へ打ち直し、転記ミスを防ぐためのダブルチェックを行う――この二重手間が、市民課の業務時間の中で最も大きな塊のひとつです。このシナリオでは、その点検と整形をAIに下書きさせます。扱うのは届書の記載内容そのものですので、外部送信のないローカルLLM(gemma)を使います。
手順 47:新しい会話を開始
シナリオ3とは別の工程を扱うため、新しい会話として始めます(左サイドバーの「+ 新しい会話」からいつでも切り替えられます)。会話ごとに参照する資料とモデルを変えられるので、案件が混ざる心配がありません。住民異動届は1件ごとに独立した処理です。会話を分ける運用を課内のルールにしてください。

手順 48:ローカルLLM(gemma)を選択
「ローカル (Ollama): gemma3:4b」(赤枠)を選びます。ここで扱うのは、住民異動届に記載された世帯全員の氏名・生年月日・住所・本籍・続柄・電話番号という、住民基本台帳法及び戸籍法の規律を受ける情報そのものです。外部送信のないローカルLLM以外の選択肢はありません。この一点だけでも、ローカルLLMを庁内に用意しておく意味があります。クラウドAIしか使えない環境では、市民課の中心的な業務でAIを使うという選択肢そのものが最初から消えてしまいます。

手順 49:手書き申請書の点検・整形の型を選択
「定型プロンプト」から『【市民課】手書き申請書の記載点検とシステム入力用データの整形(ローカルLLM専用)』(赤枠)を選びます。紙に書かれた内容を、職員がPCの画面を見ながら手で打ち直す――この二重手間と、それに伴うダブルチェックの負担は、市民課の業務時間の中で最も大きな塊のひとつです。型を配ってしまえば、誰が点検しても同じ12の観点で確認できます。

手順 50:参照する知識ファイルの欄を開く
「📎 この会話で参照する知識ファイルを追加」(赤枠)をクリックして開きます。指定するのは、シナリオ1で登録した内部基準のうち第7「手書き申請書・届書の記載点検(記載漏れ・誤記の頻出12事例)」と第8「氏名の旧字体・異体字とシステム入力の取扱い」です。ベテラン職員が経験で身につけてきた「ここを見落とすと後で困る」という観点を、文書化してAIに持たせています。

手順 51:キーワードで資料を検索
検索欄(赤枠)に「窓口事務取扱」と入力して絞り込みます。この資料は「所属(指定部署のみ)」で登録しているため、市民課の職員以外の検索結果には表示されません。

手順 52:参照する資料を選択
『市民課 窓口事務取扱要領』(赤枠)を選びます。「マンション名が書かれていない」「異動年月日が空欄」「元号の取り違え」といった頻出の不備が、要領の事例番号と対応づけて指摘されるようになります。

手順 53:型に手書き届書の読み取り結果を貼り付けて入力
入力欄(赤枠)に、型と、手書きの住民異動届を読み取った結果を貼り付けます。ここで用意した読み取り結果は、実際の窓口で受け付ける書類に近い状態にしてあります。異動年月日が空欄、住所にマンション名と部屋番号がない、前住所に市区町村名がない、ふりがなが空欄、生年月日の元号が「平成」に見える箇所がある、電話番号の下3桁が判読困難、マイナンバーカードの有無のチェック欄が未記入、届出人の署名が世帯主本人のものか不明瞭で、備考欄には「妻は仕事で来られないので私が書きました」とある――このすべてが、そのまま入力すれば後日の職権修正につながる論点です。さらに、氏名の「空」の字が戸籍上は異体字である可能性を本人が申し出ています。※ 氏名・住所・番号はすべて架空のダミーデータです。

手順 54:送信ボタンをクリック
送信ボタン(赤枠)をクリックします。

手順 55:AIが回答を作成中(ローカルLLM)
AIが窓口事務取扱要領を読み込みながら、不備の一覧と整形済みデータを作成します。入力した内容は職員のPCの中だけで処理され、庁外へ送信されません。

手順 56:ローカルLLMの回答(不備一覧と要領の該当事例)
ローカルLLM(Ollama / gemma3:4b)が、届書の不備を一覧にしました。「項目」「記載された内容」「不備の内容」「要領の該当事例」「対応」の5列で、そのまま入力すると住民票の記載が誤るものが先頭に並びます。建物名・部屋番号の欠落(事例1)、異動年月日の空欄(事例8)、前住所の市区町村名の欠落(事例7)、ふりがなの空欄などが、要領の事例番号と対応づけて示されます。目視での確認は、1件目は丁寧でも50件目には必ず精度が落ちます。

手順 57:ローカルLLMの回答(判読が困難な文字の確認事項)
続いて、判読の迷いがある箇所が挙げられます。電話番号の「1と7」「4と9」、生年月日の元号が「令和」か「平成」か、といった点です。型の厳守事項に「推測で確定してよいとは絶対に書かない」と指定してあるため、AIは必ず本人確認を求めます。AIに「分からないことを分からないと言わせる」設計が、ミスの許されない事務では決定的に重要です。

手順 58:ローカルLLMの回答(システム入力用に整形したデータ)
紙からシステムへの打ち直しを支えるのがこの部分です。「項目名:値」の形式で1行1項目、住所は市の表記原則(丁目・番・号)に統一、生年月日は和暦と西暦を併記した形で出力されます。確定できない項目は空欄のまま「【未確定】理由」が付され、推測値が入ることはありません。確認者は、紙と画面を交互に見比べるのではなく、整形済みのデータと紙を1回だけ突き合わせればよくなります。

手順 59:ローカルLLMの回答(本人への電話確認の読み上げ文と、他課への引き継ぎ)
最後に、本人へ電話で確認する際の読み上げ文が出力されます。冒頭で名乗り、用件を先に述べ、確認事項を1つずつ区切って尋ねる形で、「書き漏れがあります」ではなく「確認させてください」の言い方になっています。補正の電話は、かけ方ひとつで苦情にも、感謝にもなります。併せて、この届出に伴い他課へ引き継ぐべき手続も示されます。入力の最終的な責任は職員にあります。必ず紙の原本と突き合わせてください。

手順 60:回答をコピー・WordExcelで書き出す
回答の下の「📋 コピー」「Word」「Excel」(赤枠)から書き出せます。不備一覧はExcelで書き出して補正依頼の進捗管理表に、整形済みデータはコピーしてシステムへの入力に使えます。書き出したファイルの保管は、貴庁の情報セキュリティポリシーに従ってください。住民の個人情報を含むファイルですので、処理後は速やかに削除する運用を課内で定めてください。

このシナリオの操作記録
• 🎬 操作動画(MP4):04_AIチャット_手書き申請書の点検_ローカルLLM_20260813_105206.mp4
• 🎬 操作動画(WebM/元データ):04_AIチャット_手書き申請書の点検_ローカルLLM_20260813_105206.webm
• 🖼 操作GIF:04_AIチャット_手書き申請書の点検_ローカルLLM.gif

入力したプロンプト全文(コピーしてお使いいただけます)
あなたは架空市市民課窓口係で、住民異動届の審査と基幹系システムへの入力を
担当する職員です。
添付の「架空市市民課 窓口事務取扱要領」第7(記載漏れ・誤記の頻出12事例)及び
第8(旧字体・外字の取扱い)を基準として、
下記の手書き申請書の読み取り結果を点検してください。
【出力してほしいもの(この5点を必ずこの順で出力する)】
1. 不備一覧
・「項目」「記載された内容」「不備の内容」「要領の該当事例」「対応」の5列の表にする。
・対応は「その場で補記いただく」「本人に電話で確認」「このまま入力可」から選ぶ。
・重大なもの(そのまま入力すると住民票の記載が誤る)を先頭に並べる。
2. 判読が困難な文字の確認事項
・1と7、4と9、0と6のように取り違えの可能性がある箇所を挙げる。
・「推測で確定してよい」とは絶対に書かない。必ず本人確認を求める。
3. システム入力用に整形したデータ
・「項目名:値」の形式で、1行1項目で出力する。
・住所は市の表記原則(丁目・番・号)に統一する。
・生年月日は「令和○年○月○日(西暦○○○○年)」の併記とする。
・確定できない項目は値を空欄とし、「【未確定】理由」を付す。推測値を入れない。
4. 本人へ電話で確認する際の読み上げ文
・そのまま電話で読み上げられる文にする。
・冒頭で名乗り、用件を先に述べ、確認事項を1つずつ区切って尋ねる形にする。
・相手を責める言い方(「書き漏れがあります」)を避け、
「確認させてください」の形にする。
5. この申請に伴い、他課へ引き継ぐべき手続
【厳守事項】
・読み取り結果に無い情報を、絶対に補完しない。
・氏名の文字が旧字体・異体字である可能性がある場合は、
新字体へ勝手に置き換えず「外字確認要」と明示する。
・この型は申請書の記載内容そのもの(個人情報)を扱うため、
必ず「ローカル (Ollama)」のモデルで使用すること。
【手書き申請書の読み取り結果】
【住民異動届(転入)の読み取り結果 受付番号A-119 3月30日受付】
※ 手書きの届書をスキャンし、文字を読み取ったものです。
※ 判読できなかった箇所は「(判読困難)」と記載しています。
届出年月日 3月30日
異動年月日 (空欄)
異動の種別 転入
新しい住所 架空市架空町2-14-8
(建物名・部屋番号の記載なし)
世帯主の氏名 架空 次郎
世帯主の氏名(ふりがな) (空欄)
生年月日 昭和63年5月12日
前の住所 架空東町5-3-1
(市区町村名の記載なし)
本籍 架空県架空A市架空東町5番地
筆頭者 架空 次郎
異動する方
1 架空 次郎 続柄 本人 生年月日 昭和63年5月12日
2 架空 みどり 続柄 妻 生年月日 平成2年11月3日
3 架空 さくら 続柄 子 生年月日 平成29年(判読困難)月14日
4 架空 ひかる 続柄 子 生年月日 令和6年8月(判読困難)日
※「令和」の欄が「平成」に見える箇所あり
マイナンバーカードの有無 (チェック欄が未記入)
国民健康保険への加入 (チェック欄が未記入)
連絡先 090-1234-(判読困難:567か5b7か)
※ 数字の1と7、4と9の判別が困難な箇所あり
届出人 (署名あり。ただし世帯主の署名か第三者の署名か不明瞭)
届出人と世帯主の関係 (空欄)
備考欄の記載 「妻は仕事で来られないので私が書きました」
(窓口職員の付記)
・氏名「架空」の「空」の字が、戸籍上は異体字である可能性があると本人が申し出た。
本人は「前の市では違う字で出ていた」と話している。
・転出証明書の記載では、前住所の市区町村は架空A市である。
・本人確認書類として運転免許証を提示済み。
【地方自治体向け】一緒にAI導入支援に挑戦しませんか?



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