1. 「禁止」は正しい。問題は、そこで止まること
中小企業の現場で、AI活用が止まる理由は技術ではありません。「情シスから業務データのクラウドAI投入を禁止されている」「取引先との秘密保持契約があるので、商談の録音や提案書を外部サーバーに送れない」「全社員分の月額課金は稟議が通らない」。この3つのどれかで、議論が終わります。
はっきり書きますが、禁止は正しい判断です。取引先情報、原価、人事情報、顧客名簿を外部に送るリスクを、現場の判断で背負うべきではありません。問題は「禁止」で思考が止まり、「AIを使いたいのに使えない」状態が何年も続くことです。
この記事では、禁止の理由を分解したうえで、「クラウドに送らなければよい」という解き方を具体的に説明します。
2. クラウドAIが禁止される3つの理由
| 理由 | 中身 |
|---|---|
| 情報漏洩のリスク | 入力した内容が外部サーバーに保存される、学習に使われる可能性がある、という懸念。契約上はオプトアウトできても、現場が設定を間違える余地が残る |
| 契約・法令上の制約 | 取引先との秘密保持契約、個人情報保護法に基づく社内規程、業界ガイドライン。「外部への提供」に当たるかどうかの判断を毎回しなければならない |
| コストと統制 | 全社員分の月額課金、アカウント管理、利用ログの監査。人数が増えるほど費用と管理工数が増える |
3つに共通しているのは、「データがPCの外に出る」ことが起点になっている点です。裏返せば、データがPCの外に出なければ、3つとも前提が変わります。
3. 解き方:すべてを社内PCの中で動かす
ローカルAIとは、LLM(対話モデル)、文書のベクトル化(検索のための数値化)、音声認識の3つを、すべて社内のPCの中で動かす構成です。具体的には次の組み合わせになります。
- LLM と埋め込み: Ollama(ローカルでモデルを動かす基盤)
- 文書検索: ChromaDB(ローカルに永続化するベクトルデータベース)
- 音声認識: faster-whisper(ローカルで動く文字起こし)
- 画面: Streamlit(ブラウザで開く業務UI)
インターネットへのデータ送信はゼロで、クラウドAIのAPIキーも不要です。月額課金はなく、PCの台数分のモデルを置くだけで動きます。GPUは不要で、CPUのみで動作します(あれば速くなります)。

「ローカルで動く」は机上の話ではなく、実際に Windows 11 のPCで動作確認されています。BOOTHで販売している構築キットは、この構成を Claude Code に作らせるためのプロンプトと、動作確認済みのコード一式をまとめたものです。
4. 情シスに説明できる7つの設計
「ローカルで動く」だけでは情シスは納得しません。「誤って外部に公開されないか」「ライブラリが裏で通信しないか」まで聞かれます。構築キットのプロンプトは、次の7点を条件として作り込んでいます。
| # | 設計 | 何を防ぐか |
|---|---|---|
| 1 | 127.0.0.1 固定バインド | 既定では自分のPCからしか開けない。社内LAN共有は専用バッチを使ったときだけ |
| 2 | Deploy ボタンとヘッダーメニューの封鎖 | Streamlit 標準の右上メニューには外部公開につながるボタンがある。CSSで非表示にし、DOMにも存在しないことをテストで確認 |
| 3 | 利用統計の送信停止 | Streamlit の gatherUsageStats = false、ChromaDB のテレメトリ無効化 |
| 4 | モデル自動取得の遮断 | ChromaDB の既定埋め込み関数(ネットからモデルを取る)を使わず、ローカル Ollama のベクトルを明示的に渡す |
| 5 | エラー詳細の非表示 | 利用者画面に内部パスやスタックトレースを出さない |
| 6 | ライセンス | 使用ライブラリは MIT / Apache-2.0 / BSD のみ。GPL は不含。LGPL(FFmpeg)の扱いは注意書きを明記 |
| 7 | 同時実行対策 | SQLite を WAL モードで初期化し「database is locked」を回避 |
この表は、そのまま情シスへの説明資料に使えます。キットの 使い方.md には「セキュリティ設計の社内説明用まとめ」の章があり、同じ内容が購入者向けに整理されています。
5. 「完全ローカル」の範囲を正直に書く
売り文句として「完全ローカル」と書くなら、範囲を正直に示す必要があります。
- 「完全ローカル」は、構築後のシステムを運用するときの話です。運用中にデータが外部へ出ることはありません
- 構築に使う Claude Code 自体は Anthropic のクラウドと通信します。構築・改修のときに Claude Code へ読ませるコードや資料の扱いは、御社のAI利用ポリシーに従ってください
- 初回のみ、音声認識モデル(約145MB)のダウンロードで通信が発生します。音声データ自体は送られません。閉域網では、別のPCで取得したモデルフォルダをコピーすれば動きます
- 社内LAN共有の起動バッチにはログイン認証がありません。同じネットワークの誰でもアクセスできるため、社外Wi-Fiや公衆Wi-Fiでは使わないでください
この4点を先に伝えておくと、情シスとの話が早く進みます。
6. 実際に何ができるのか:30秒で見る
ローカルAIで何ができるかを、実機のGIFで見てください。

社内資料(就業規則、売上台帳、商談メモなど)を登録し、質問すると、どのファイルの何ページを根拠にしたかが回答に付きます。

参照する資料は「全選択」「全解除」で絞れます。「この質問には経理の資料だけ」という使い方ができます。

出典付き検索の操作は {U1}、会議音声の議事録は {P2} で詳しく書いています。
7. 稟議に使える判断材料
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 価格 | ¥49,800(税込・買い切り)。5万円未満で、多くの企業では現場から課長クラスの決裁枠に収まる |
| 利用範囲 | 購入企業内は人数無制限。全社展開しても追加費用なし。商用利用可 |
| 比較 | 同等システムの外部開発委託 80万〜300万円、法人向けクラウドAI 30名分で年36万〜108万円(データは社外へ) |
| 必要環境 | Claude Code(Anthropic アカウントと利用契約)、Node.js、Python 3.11、Ollama。メモリ16GB以上推奨、GPU不要 |
| 人的サポート | なし。使い方.md に30項目超のトラブル対処を収録 |
| 完成度 | 完成品ではなくスターターキット。自社適用には手直しが前提 |
社員30名で使えば1人あたり1,660円、100名なら498円です。クラウドAIの月額課金と違い、人数が増えても費用は変わりません。
8. 導入前のチェックリスト
- [ ] 社内のAI利用ポリシーで、ローカル実行のAIが許可対象になっているか(されていなければ、本記事の4章の表で相談する)
- [ ] Claude Code を構築時に使うことが、ポリシー上問題ないか
- [ ] 16GB以上のメモリを持つPCを1台用意できるか
- [ ] 社内LAN共有を使う場合、同一ネットワークにゲスト端末が同居していないか
- [ ] 登録する資料の範囲と、業務フォルダの分け方(部署限定の資料は専用フォルダ)を決めたか
- [ ] AIの回答を社外に出す前に担当者が原典を確認する運用を決めたか
9. まとめとキットの入手先
- クラウドAIの禁止は正しい。ただし「データがPCの外に出る」ことが前提なので、ローカルAIなら前提が変わる
- 127.0.0.1 固定、Deploy ボタン封鎖、テレメトリ停止など、情シスに説明できる7つの設計がプロンプトに組み込まれている
- 「完全ローカル」の範囲(構築時の Claude Code、初回のモデル取得、LAN共有の認証なし)は正直に共有する
「外注は高い、自作は終わらない」という次の壁については {P3} で書いています。キットの全体像は総合解説記事をご覧ください。
→ 総合解説記事: {LP_URL}
キットは BOOTH で販売しています。価格 ¥49,800(税込・買い切り)、購入企業内は人数無制限、商用利用可、人的サポートなしです。商品ページの「ご購入前に必ずお読みください」を確認のうえ、ご検討ください。
→ BOOTH 商品ページ: https://ai-beginner-navi.booth.pm/items/8937710


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