文化財保護課では、遺跡情報・調査資料・未公開データなど、自治体の中でも特に機微性の高い情報を扱います。
そのため、AIを本格導入したいと思っても「いきなり実データを使うのは不安」「公開範囲の制御が必須」という声が多く聞かれます。
本記事では、文化財保護課の業務に合わせて設計した“お試し用AIシステム”の操作画面を一部公開しながら、
自治体職員が安全にAI活用を検証できる副業型AI導入支援サービスをご紹介します。
- シナリオ1:知識ファイル管理(全庁公開の文化財の公開・活用の手引きと、庁内限りの埋蔵文化財事務取扱要領を登録する)
- 手順 1:ログイン画面を開く
- 手順 2:ログインIDとパスワードを入力
- 手順 3:ログインボタンをクリック
- 手順 4:知識ファイル管理タブをクリック
- 手順 5:知識ファイル管理画面
- 手順 6:タイトルを入力(文化財の公開・活用の手引き)
- 手順 7:ファイル選択欄を確認
- 手順 8:資料ファイルを添付
- 手順 9:アクセス範囲を選択(全庁)
- 手順 10:登録ボタンをクリック
- 手順 11:1件目の登録完了を確認
- 手順 12:2件目の資料を入力(埋蔵文化財事務取扱要領)
- 手順 13:アクセス範囲を「所属(指定部署のみ)」に変更
- 手順 14:対象部署に文化財保護課を指定
- 手順 15:2件目を登録
- 手順 16:登録済みファイル一覧でアクセス範囲を確認
- このシナリオの操作記録
シナリオ1:知識ファイル管理(全庁公開の文化財の公開・活用の手引きと、庁内限りの埋蔵文化財事務取扱要領を登録する)
遺跡の範囲も、遺構検出面の深さも、費用負担の特例も、公開してよい照度も、自治体ごとに違います。そのままAIに質問すれば、AIは一般論で答えます。最初に登録すべきは、本市の遺跡台帳と、公開・活用の判断基準そのものです。このシナリオでは2件を登録し、公開範囲を使い分けます。1件目の公開・活用の手引きは「全庁」――文化財の公開の要請は商工観光課・広報広聴課・学校教育課から来るため、「傷むから出せません」と担当者個人が断る形にしないためです。2件目の埋蔵文化財事務取扱要領は「所属(指定部署のみ)」――遺跡の正確な範囲と、まだ調査していない横穴墓の所在が書かれているからです。本市では過去に2件の盗掘被害が発生しており、いずれも調査成果を公表した後に起きています。
手順 1:ログイン画面を開く
ブラウザで本システム(ローカル環境専用)を開くとログイン画面が表示されます。本システムは庁内ネットワークの端末からのみアクセスでき、待ち受けアドレスは 127.0.0.1(自端末)に固定されています。文化財保護課が扱う情報には、他の課にはない特殊な機微性があります。遺跡の正確な範囲と、まだ調査していない横穴墓の所在です。これが外部に出れば、金属探知機を持った者による盗掘に直結します。本市では過去に2件の盗掘被害が発生しており、いずれも調査成果を公表した後に起きています。「クラウドに置いてよいか」は、この課では理屈ではなく実害の問題です。

手順 2:ログインIDとパスワードを入力
赤枠の欄に「ログインID」と「パスワード」を入力します。ここでは文化財保護課に所属する管理者アカウント(bunkazai)で操作します。知識ファイルの登録とテンプレートの配布は管理者権限が必要なため、この操作を行うのは課内の担当者(学芸員・係長)です。アカウントの「所属」がこの後の鍵になります。この後で登録する2件目の資料は、同じ所属(文化財保護課)の職員にしか見えない設定にします。

手順 3:ログインボタンをクリック
「ログイン」ボタン(赤枠)をクリックします。パスワードは平文で保存されず、ハッシュ化して保管されています。

手順 4:知識ファイル管理タブをクリック
画面上部のタブから「知識ファイル管理」(赤枠)をクリックします。このタブは管理者権限のアカウントにのみ表示されます。

手順 5:知識ファイル管理画面
知識ファイル管理の画面です。上部が「ファイル登録」、下部が「登録済みファイル一覧」です。ここに登録した資料が、AIチャットや文書作成のときにAIの参照先(=根拠)になります。文化財保護課にとって、この画面には他の課とは違う意味があります。専門職の知識を、退職の前に外へ出しておく場所だということです。本市の文化財保護課には学芸員が2名しかおらず、うち1名は会計年度任用職員です。3年前に定年退職した前任者が把握していた資料の所在は、記録に残っていません。収蔵庫の体育館には、どの資料群に属するかすら判別できない箱が積まれています。「あの人しか分からない」は、その人が去った瞬間に「誰にも分からない」に変わります。

手順 6:タイトルを入力(文化財の公開・活用の手引き)
「タイトル」欄(赤枠)に資料名を入力します。ここでは 『架空市 文化財保護課 文化財の公開・活用の手引き 兼 展示解説・歴史解説文 作成基準(令和8年度版)』と入力しました。タイトルは職員が資料を検索するときのキーワードになるため、「文化財」「公開」「活用」「解説」など、職員が実際に打ち込みそうな言葉を含めておくと探しやすくなります。

手順 7:ファイル選択欄を確認
「ファイル(PDF等)」の欄(赤枠)に、登録したい資料をドラッグ&ドロップするか、「Browse files」から選択します。PDF・Word・Excel・テキストなどを登録できます。すでに課内にある発掘調査報告書のPDFや、前任者が作った展示解説の原稿のWordを、そのまま登録できます。AI用に作り直す必要はありません。

手順 8:資料ファイルを添付
市の指定・登録文化財8件の公表済み基礎データ(獅子舞の保存会員数23名・平成10年は61名、山城の遺構、古民家の公開日と見学者数、古文書3,200点のうち目録作成済み420点)、媒体8区分ごとの字数と使い分け、解説文の作成基準、対象別5類型の書き分け、使ってはいけない表現8類型、写真・所有者の権利の取扱い、公開と保存を両立させる資料種別ごとの基準(紙資料は照度50ルクス以下・年間30日以内)、多言語対応の基準、学校教育での活用、効果検証の指標、専門用語の言い換え表28語をまとめたWord ファイル(架空市_文化財保護課_文化財の公開活用の手引き_展示解説歴史解説文作成基準_令和8年度版.docx)を選択しました。ファイル名が表示されれば添付完了です。

手順 9:アクセス範囲を選択(全庁)
「アクセス範囲」のプルダウンを開き、誰がこの資料を参照できるかを指定します。「全庁(全員が参照可)」「所属(指定部署のみ)」「個人(自分のみ)」の3種類から選べます。この公開・活用の手引きは「全庁(全員が参照可)」を選びます(赤枠の選択肢をクリック)。これは、この課にとって戦略的な選択です。文化財の公開の要請は、たいてい他の課から来ます。商工観光課は「観光資源としてどんどん見せたい」、広報広聴課は「市の魅力として発信したい」、学校教育課は「授業で使いたい」と言います。そのたびに学芸員が個人の判断で「傷むから出せません」と断ると、課が孤立し、担当者が「文化財の人はいつも後ろ向き」と見られます。手引き第8には、資料の種別ごとに照度・年間公開日数・連続展示日数の数値基準が書いてあります。これを全庁で共有すれば、断るのは担当者ではなく基準になります。しかも第8(7)は「必ず代替案を添える」と定めています。保存と活用は対立ではなく、条件を設計する問題だという立場です。

手順 10:登録ボタンをクリック
内容を確認し、「登録」ボタン(赤枠)をクリックします。

手順 11:1件目の登録完了を確認
登録が完了すると入力欄がクリアされ、画面下部の「登録済みファイル一覧」に登録した資料(赤枠)が追加されます。これでAIがこの手引きを根拠として参照できる状態になりました。「この土器の展示キャプションを書いて」と頼めば、AIが100字以内・「何か/いつか/なぜ大事か」の3点・事実と推定の書き分けまで踏まえた文面を返します。

手順 12:2件目の資料を入力(埋蔵文化財事務取扱要領)
同じ手順で2件目の資料『架空市文化財保護課 埋蔵文化財事務取扱要領 兼 遺跡台帳・照会回答基準/収蔵資料受入れ・目録作成要領(令和8年度版)』を登録します。遺跡台帳6遺跡の範囲・時代・遺構検出面の深さ・既往調査、照会回答の4区分(範囲内/隣接50メートル以内/範囲外/地形上の想定)、判定に用いる資料7種、回答文書の記載事項8項目と、記載してはならない事項6項目、試掘調査の実施判断基準(掘削深度・基礎工法・面積)、費用負担の原則と個人住宅の市費負担の特例、事業者対応の心得8項目(威圧的な言動への対応、独断の禁止)、収蔵資料の現況と未整理資料の実態、古文書の資料カード記載15項目と翻刻の基準、寄贈者情報の取扱い、市民照会への対応基準をまとめた資料です。開発事業者との板挟みと、未整理資料の山という、この課の2大課題の判断基準を、そのまま文書にしたものにあたります。

手順 13:アクセス範囲を「所属(指定部署のみ)」に変更
この資料は、絶対に庁内で広く共有してはならない種類のものです。遺跡の正確な範囲、遺構検出面の深さ、過去の出土地点、そしてまだ調査していない横穴墓が斜面のどこに残っているかが書かれています。本市では昭和61年と平成14年に副葬品の盗掘被害が発生しており、いずれも調査成果の公表の後に起きました。また、要領第8には事業者から威圧的な言動を受けたときの対応、第12には古文書の寄贈者(旧家)の氏名・屋号・所蔵経緯の扱いが含まれます。1件目とは変えて「所属(指定部署のみ)」(赤枠)を選びます。同じ知識ファイル管理の画面でも、資料の性質に応じて公開範囲を変えられることが、情報の保護と現場の利便性を両立させる要点です。
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手順 14:対象部署に文化財保護課を指定
「対象部署(アクセス範囲=所属 の場合のみ有効)」のプルダウンから「文化財保護課」(赤枠)を選びます。これでこの資料は、文化財保護課に所属する職員だけが参照できます。他課の職員が検索しても、そもそも候補に表示されません(見えないだけでなく、データベースの問合せ結果に含まれません)。「見せない運用」ではなく「見えない仕組み」であることが重要です。遺跡の所在情報は、庁内であっても知る必要のある者だけが知るべき情報です。情報公開請求への対応でも、画面ではなくデータベースの条件で制御していると説明できます。

手順 15:2件目を登録
「登録」ボタン(赤枠)をクリックして2件目を登録します。

手順 16:登録済みファイル一覧でアクセス範囲を確認
画面下部の「登録済みファイル一覧」で、登録した2件の資料(赤枠)とアクセス範囲を確認できます。1件目は「全庁」、2件目は「所属/文化財保護課」と表示され、どの資料が誰に見えているかが一覧で点検できます。遺跡地図は数年ごとに改訂され、指定文化財は毎年増えます。この一覧は年度当初に必ず見直してください。不要になった資料は右の「削除」ボタンで取り下げられます。改訂があったときは、新しい版を登録して古い版を削除してください(古い版が残っていると、AIが改訂前の遺跡の範囲を根拠に回答します。これは事業者への誤った回答に直結します)。

このシナリオの操作記録
• 🎬 操作動画(MP4):01_知識ファイル管理_20260815_200441.mp4
• 🎬 操作動画(WebM/元データ):01_知識ファイル管理_20260815_200441.webm
• 🖼 操作GIF:01_知識ファイル管理.gif

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